忍者ブログ
どう考えても日記じゃない
[2269]  [2268]  [2267]  [2266]  [2265]  [2264]  [2263]  [2262]  [2260]  [2261]  [2259
完全な小説になりきれなかった、お話の欠片をちょこっとずつ出していこうかなと思います。
誰か小説にしてくれてもいいんですよ。(笑)



【誘ってよ】土方夢

女中の仕事を終えた頃には、すっかり日が沈んでいた。
帰って夜ご飯作るのもめんどくさいなあ、なんて思いながら屯所の門へ向かった。

「あれ、土方さん?」
ばったりと出くわしたのは、屯所の副長である土方さんだった。
「ん?ああ、お前か。いま終わりか?」
「はい、土方さんは…珍しく私服ですね。尾行とか張り込みですか?」
いつもの隊服とは違う服装も素敵だな、なんて思いながら問いかける。

「いや、今日はもう終わりだ」
「え」
終わりって、お仕事終わり、ってこと?
はっとして周りを目だけでうかがう。誰もいないよね。

「珍しいですね、いつも遅くまでお仕事してるのに」
「ま、ちょうどキリがついたからな」
ちょっとだけ自嘲気味に笑うその顔すらかっこいいと思えるようになったのはいつからだろう。
ああ、神様、ありがとう。今日の偶然にありがとう。

「たまには夕飯を外で食べようかと思って、早めに出てきたんだ」
「へえ、いいですね!」
言いながら手に汗がにじむ。
「わ、私も今仕事終わって、帰ってからご飯つくるのめんどうだなーって思ってたんですよね」
自然な感じで歩きながら話す。
「今から作るのは確かに大変だな。作ってる最中に腹が限界になる」
「そうそう」

……いやちょっとまて、まって、今でしょ、今こそでしょ!!誘えよ!!!!!
じゃあ一緒に行くか?って言ってよ!!!

私から言えってか?
それでもいいけど、言って断られたらもう明日屯所に行けない、顔合わせられない。


お願い、そこの角が分かれ道なの。
そこにたどり着くまでに、お願いだから。


誘ってよ
(勘のいい貴方だから、私の気持ちくらい気づいてるんでしょ)
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
Mアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
Un:BIRTHDAY SONG
Un:BIRTHDAY SONG~愛を唄う死神~
最新コメント
[01/10 antibioticshut]
[12/30 neurontnhut]
[10/16 藍]
[01/25 風村雪]
プロフィール
HN:
風村 雪
性別:
非公開
忍者ブログ [PR]

material by: